カテゴリ:本( 9 )

村上春樹「エルサレム賞」 卵と壁のスピーチでガザ侵攻を批判

f0176876_8173414.jpg私は、村上春樹が大好きです。間違いなく、一番好きな作家です。そして、そのことを誇りに思います。

村上春樹は、イスラエル最高の文学賞「エルサレム賞」を受賞し、エルサレム市内の会議場でスピーチを行いました。村上春樹は、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻を批判、日本で受賞をボイコットすべきだとの意見が出たことを紹介した。

村上春樹は例え話として、「高い壁」とそれにぶつかって割れる「卵」があり、どんなに壁が正しくても、どんなに卵が間違っていても、いつも自分は「卵」の側に付くと言及しました。更に、「爆弾犯や戦車、ロケット弾、白リン弾が高い壁で、卵は被害を受ける人々だ」と述べ、明言はしませんでしたが、イスラエル軍やパレスチナ武装組織を非難しました。

色々なサイトで日本語訳を見ましたが、どれも微妙なニュアンスがしっかりこなかったので、原文を読みました。自分の理解している内容が、村上春樹の伝えたい内容と完全に一致しているかどうかは、わかりません。ただ、高い壁と卵の一文を読んでいるときに、涙が出てきました。

本が好きで、走るのが好きで、ビールが好きで、ジャズが好きで、そんな自分との共通点から愛読するようになり、いつの間にか一番好きな作家になっていました。ただ、今回は、好きな作家という域を超えて、日本人としても誇りに思えるようなスピーチでした。(この記事を書きながらも、また涙が出てきました・・・)。G7で失態をさらけだし、世界中に恥をさらした人もいれば、こんなに素晴らしいメッセージを世界に発信できる人もいるのです。
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by set_them_free | 2009-02-18 08:27 |

海辺のカフカ

2002年に刊行された、村上春樹の小説です。2005年には英語版Kafka on the Shoreが刊行され、アメリカ、イギリスでもベストセラーになった。こちらも読みましたが、和書を読んでいたので、すんなりと読みきることができました。

f0176876_7571657.jpgニューヨーク・タイムズで年間のベストブック10にえらばれるほど、海外の評価は高いです。まぁ、村上春樹の作品は、全般的に海外の評価が高いのですが。

主人公のカフカは15歳。きれいずきで、日常的にエクササイズを行い、栄養バランスを考えて野菜を食べ、クラシックや書物を好む・・・。村上春樹そのものを描いているような気さえします。そしてそんなカフカが、世界で一番タフな少年になるために、様々な試練に挑む。いや、挑まざるをえない試練が襲ってくる。

相変わらず、好き嫌いがはっきりしそうな作品ではありあすが、村上春樹独特の言い回しと、現実に存在しそうな部分を併せ持った奇妙な世界が繰り広げられ、村上ワールドを十分に堪能することができました。
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by set_them_free | 2008-10-28 08:11 |

国境の南 太陽の西


村上春樹の作品に出てくる主人公は、なぜか私自身の隠れた一面、隠したい秘密を、私と同じように背負っている気がします。

自分に欠けている点があり、それは誰にも打ち明けられない。もっとかっこよく、強く生きたいのだけれど・・・という、憂鬱さを感じたことがある人なら、みんな受け入れられるのではと思います。

主人公は、有紀子との理想的な結婚と仕事の成功で、幸せを得ました。周囲の人たちからも羨まれるぐらいの幸せであり、何の不満も不平もなかったはずなのですが、かつて自分に全てを与えてくれた人との再会により、心のどこかに潜んでいたものが・・・。

主人公は、彼女を求める感情を抑え切れなくなり、家族や自分までもを傷つけていきます。こういう感情は、フィクションの登場人物だから持っているわけではなく、世の中の多くの人々に共有できるものではないでしょうか。

最後に主人公は救われます。一番大きな傷を与えたであろう人から。彼女の強さと、人の優しさと、様々な愛の形を教えられた1冊です。
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by set_them_free | 2008-10-06 08:36 |

村上春樹の世界的ベストセラー「ノルウェイの森」映画化

日本での累計発行部数870万部を誇る村上春樹の大ベストセラー小説「ノルウェイの森」が、映画化されることになりました。フランスのトラン・アン・ユンが監督をつとめ、2009年2月の公開を目指します。

ノルウェイの森が、1987年の初版から21年の時を経て、映画化することになりましたが、村上春樹のファンとしては複雑な気持ちです。

確かに映画は見てみたいですが、登場人物には読み手個人個人の思い入れがあり、人物像があり、イメージがあります。それを実写化することにより、壊されてしまうのです。そう考えると、ちょっと寂しい気もします。

ノルウェイの森の人気は日本だけにとどまらず、世界36の言語で翻訳出版され世界的ベストセラーになっています。熱烈なファンの1人が、1995年に『シクロ』でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)を獲得しました。その監督がユン監督でした。

フランス語版を読み、「青春の満たされない渇望、過激な主張、死の選択、大人に向かう道程など、だれもがたどる人生の経験を描いた作品」と心酔し、日本人俳優による日本での映画化を思い立ったそうです。果たして彼が持っている作品のイメージはどのようなキャスティングをするのでしょうか。

 「自分にとっても特別な作品であり、映像化は無条件でOKというわけにはいかない」と語っていた村上春樹でしたが、ユン監督の作品が好きだったこともあり実現となりました。

ユン監督は、「原作は力強く繊細であり、激しさと優雅さが混とんとしていて、官能的かつ詩情にあふれている。つまり、映画化するための数多くの幅広い題材を内包しているのです。この作品を映画化したいと直感したことが、原作の素晴らしさと豊かさの正当な評価につながると信じています」と意欲を見せています。その通りの素晴らしい作品に仕上がることを期待しています。

過去ページで紹介したノルウェイの森
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by set_them_free | 2008-07-31 08:09 |

シリーズ最終巻『ハリー・ポッターと死の秘法』本日発売

f0176876_813970.jpgJ.K.ローリング原作のファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズの最終巻『ハリー・ポッターと死の秘法』の日本語訳がいよいよ本日発売となります。

すでに原語の英語版では全7巻が完結しており、日本語訳版では6巻までが刊行されています。なお発売解禁日の23日には、くまざわ書店八王子店でのカウントダウンを皮切りに、都内5カ所で訳者の松岡佑子氏が参加しての発売記念イベントが実施される予定だそうです。

初版だけで200万部の大ベストセラーとなる、ハリポタの最終章。本が売れない原因を若者の活字離れとしてきた出版業界に、「もっと面白い本を書いてよ!そうしたら売れるから。」って訴えかけているような気もします。

私は既に英語版で読んでしまったので、あとからゆっくりと知人か図書館で借りるつもりです。最終巻も、いままで同様にハラハラドキドキさせられますが、子供から大人まで幅広く愛されている作品でもあり、すべてが皆さんの希望通りに進んでいきますよ。
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by set_them_free | 2008-07-23 08:02 |

<芥川賞>楊逸さんの「時が滲む朝」 中国人作家が初受賞

f0176876_817191.jpg第139回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が開かれ、芥川賞が楊逸(ヤンイー)さん(44)の「時が滲(にじ)む朝」(文学界6月号)に、直木賞は井上荒野(あれの)さん(47)の「切羽(きりは)へ」(新潮社)が決まりました。

楊さんは中国ハルビン市生まれの中国人。1935年創設の芥川賞史上、獲得言語(母語以外に学んで身につけた言語)での受賞は初めてです。中国人でありながら、日本語の奥ゆかしさを理解し・大切にしてくれた彼女が日本文学界に残した功績は、とても大きなものとなりそうです。

楊さんは87年に初来日。日本語学校やお茶の水女子大で日本語を学びました。デビュー作の「ワンちゃん」(文学界新人賞)に続き、芥川賞候補は2回目です。

これにより日本文学界が活気付き、さらに多くの良書が執筆されることを望みます。また、芥川賞に「国籍差別」が存在していないということを嬉しく思います。
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by set_them_free | 2008-07-16 08:17 |

ノルウェイの森

f0176876_8215459.jpg久し振りに手にとってしまいました。

高校時代の親友が世を去り、残された「僕」と「直子」が大きな心の穴をかかえたまま生きていく。 お互いを求めあってはいるけれど、傷は乗り越えることができないほどに深かった。 それでも「僕」は生きていくが、「直子」は・・・

それから20年経ての回想という設定で物語は展開していきます。自分が二十歳前後の状況とはことなりますが、すごく共感できるところがたくさんあった作品です。

ノルウェイの森の装幀は村上春樹自身が手がけています。金色の帯に「100パーセントの恋愛小説」と書かれた赤と緑のカバーは当時かなり話題となりました。ノルウェイの森の単行本の発行部数は、上巻が238万部、下巻が211万部の計449万部。文庫本を含めた発行部数は2002年時点で計786万部です。上巻は、片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』に抜かれるまで、日本における小説単行本の発行部数歴代1位でした。『世界の中心で、愛をさけぶ』が映画やドラマなどによる相乗効果としてベストセラーになったのに対して、ノルウェイの森にはそれがありませんでした。そう考えると、いかに多くの人を引き付け、多くの人の共感を得てきた本かということがわかります。

村上春樹初心者には、読みやすいと思います。
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by set_them_free | 2008-07-11 08:22 |

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

f0176876_812711.jpgやっぱり大好きなので、今回も村上春樹の著書を紹介します。ねじまき鳥クロニクルを先に紹介したのですが、私の一番好きな作品は、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」です。

村上春樹の作品には良く用いられているのですが、全く違ったストーリーが交互に繰り広げられます。まったく関連性の無いストーリーが、徐々に融合して行くとともに、小説の中に引き込まれていきます。「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」では、ファンタジーをハードボイルドが交互に繰り広げられています。

まさに活字でしか成立しない世界です。村上春樹のあの独特の壮大な表現方法、また怪しく不思議な登場人物の動き。600ページを超える対策ですが、読み進めるほどペースが速くなっていく本で、私にとっては最も重要な?本です。
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by set_them_free | 2008-06-25 08:20 |

ねじまき鳥クロニクル

ねじまき鳥クロニクル 著者:村上春樹

私の大好きな作家です。村上春樹氏の作品の中でも、最も長編な小説である「ねじまき鳥クロニクル」は、場面展開が頻繁で、脈絡が無いので、集中してないと理解に苦しむ場面が出てくると思います。

大好きな作品の一つですが、読んだのはこれで2回目です。ちょっと日常生活でつらいことがあり、そのときに頭に浮かんだのが、ねじまき鳥クロニクルでした。

<あらすじ>
オカダトオルは勤めていた法律事務所を辞めて主夫を、妻のクミコは雑誌の編集業で多忙な日々を送っていた。ある日、オカダトオルが謎の女からの電話を受け取る。そして彼の日常は、想像もつかない奇妙な方向に変貌する。飼い猫が行方不明となる。そして様々な人たちと出会う。学校に行かない少女、特殊な能力を持つ姉妹、死ぬことが許されなかった軍人。そしてクミコが消える・・・。オカダトオルは、クミコの失踪のヒントがそこにあると、奇妙な世界に乗り込んでいく。

1回目に意味がつながらなかった部分のいくつかが、読み直すことにより解決しました。好き嫌いがはっきりと別れる作品だと思います。複数の物語が、交互に展開されますが、それらの関連性が見えてくるまでに、少し時間がかかります。そこまで読み進めると、抜け出せなくなります。あらゆる人たちの、取るに足りない小さな行動や言動に、深い意味が隠されています。「想像することは、危険なことである」 今の私に一番響いた言葉です。トオルも手紙の中で、この言葉を読んでいなければ、クミコを取り返すことができなかったかもしれません。「面白かった」とか、「素晴らしかった」とかいった、普通の本を形容するための言葉は、ねじまき鳥クロニクルには当てはまりません。人によって感じ方は全く異なるでしょうから。
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by set_them_free | 2008-06-05 08:55 |